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概要
- タイトル: 言語が違えば、世界も違って見えるわけ
- 著者: ガイ・ドイッチャー
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書評
- とにかく前半の色に関する話が面白かった。ウィリアム・グラッドストンによる研究で、イリアスの色と事物の対応が非凡であることが指摘された。ワイン、海、牛が同じ色として表現されているなど、現代の色の常識からすると生物学的に目の機能が違うのではないかとすら思う。もしくは、幅広い色のスペクトルの境界線が現代と違うのではないかとも捉えられる。本書において、最終的に色の語彙の獲得には順序があることが示唆された。一番極端な違いである白と黒から始まり、人間の血の色である赤…等、段々と色に関する語彙が強化されていく。青に対応する語彙はこの獲得順序からすると遅い段階になり、ある部族では青に関する語彙は、恐らく西洋人に教えられたため英語に影響されていることが明らかになっている。
- 現代の言語は色の語彙が豊富である。同じ青にも何種類も存在する。実際それらを見てみると、色の差異ははっきりせず区別しにくいものもある。色彩言語が豊富になっていく歴史の過程で、沢山の境界線がスペクトル内に引かれてきた。今後も更なる細分化を担う境界線が引かれ、もしかすると人間の目の生物学的限界まで続くのかもしれない。その際は、こちらの研究のように通常では見えない色を見るように目の機能を外部から補強していく方向に移行するのだろうか(それを行う動機が薄いが…)。